TOP南西アジア旅行記 > トップ・第8話



■ 第8話  ヒッピーの聖地(海岸の小屋)

インド、ボンベイの南約400キロ、ゴア州の州都パナジに着いた。

多くの帆船が行き来している夢のような光景だ。

船から降り、上陸した途端に、日本語を話せるインド人が寄って来て、宿はすぐに決まった。港の目の前だ。
明るいシングルルームで10ルピー。
シャワーもあるし、日本語も通じるし、景色がすごくいい。
これまでの旅で一番快適だった。旅って、こんなにいいものだったんだ!

午後、一人でカランガットビーチへ行って、夜帰ってきた。
南国の風情ある眩しい海岸だが、人はあまりいなかった。

西洋人の女性が胸を出して浜辺で遊んでいるのを、岸辺でインド人の男たちが珍しそうにじっと見ている光景が面白い。
全裸で泳いでいる男たちもいた。

海岸にはこういう西洋人たちがいるため、インド人観光客がそれを見にやってくる・・・という構図になっていた。

しかし、浜辺の飯屋や飲み物屋で、インド人たちは子供まで一緒になって働いているのに、この美しい海岸で実際に遊んでいるのはほとんど西洋人である。

地元の人たちは、どんな目で西洋人を、また日本人を見ているのだろうということが気になってしまうのだ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
5日後、同じホテルに泊まっていた日本人大学生(目がはれて、片目に眼帯をしていたので、メッカチさんと呼んでいた。)と、さらに奥にあるアンジュナビーチに行ってみた。

浜辺を散歩すると、ところどころで西洋人の男女が全裸で抱き合って寝転がっている。

男は例外なく長髪でヒゲがあり、ヒッピーそのものの面構え。


下になっている男の方が、私に向ってピースマーク(Vサイン)を出したりする。
なぜか誇らしげにニヤッと微笑む。

こっちは同じくピースマークで答えるくらいしかできない。なんとなく気恥ずかしい。
私はヒッピーに成り切れていないからなあ・・

中途半端な通りすがり・・くらいかな。

〜〜〜〜〜〜〜
浜辺には、竹と椰子の葉でつくられたハットと呼ばれる小屋掛けが数百メートルおきくらいに点々と存在していた。

食堂のおばさんに聞いたところ、これらは、ここに長期滞在しているヨーロッパのヒッピーたちが作ったものだという。
テントを少しマシにした程度のシロモノだが、なかなか住み心地は良さそうだ。

どのハットにも西洋人の住人がいたが、ラッキーなことに、ひとつ無人のがあった。

ついこの間までフランス人たちが住んでいたが、どこかへ行ってしまったそうだ。

「しめた! 俺たちがここに住もう!」 
ということで、その日のうちにメッカチさんと、この無料の小屋へ引越ししてきた。

それから約2週間ほど、このハットに住んでいた。ヒッピーの端くれになったのだ。


どういう生活をしていたか?

食事は、市場から食材を買ってきて焚き火をしながら自炊した。
自炊するのが面倒くさいときは、近くの料理屋で牛ステーキなどをかじりついていた。
(ここはカトリックなので、インドなのに牛肉を食べることができたのです。)


トイレは、「小」は周りの大地全体。どこでもいい。気分爽快。

しかし「大」をするときが大変だ。

まず、市場で買ったアルミの鍋に水を入れて、椰子の林の中に行き、ところどころにある窪地にしゃがみこむ。

もちろんインド式で、紙は使わない。
用を足したら左手に水をかけながら左手でお尻を洗うのだ。
紙を使うようもはるかに気持ちよい。

「インド式」は慣れると病み付きになるほど気持ちよく、帰国してから日本式の紙方式に戻るのが残念だった。
インドの人たちは数千年も前から、「ウォッシュレット」を使っていたことになるのかな?

問題はそのことではなく、このあたりで野生化している(あるいは放し飼いかもしれないが・・)ブタたちのことだ。
彼らはいつも飢えていて、窪地にしゃがんでいると、どこからともなく臭いを嗅ぎ付けて、ウンコを食べるために集まってくるのだった。


ブタというやつは結構凶暴で怖い。

のんびりやっていると、あっという間に取り囲まれてしまう。

しまいには鼻先でお尻をこづかれるので、しゃがみながら人間の方がうなり声を上げてブタたちを威嚇したりして近づけないようにするが、じわじわと接近してくる。

傍から見れば笑える光景だが、本人は必死だ。
「大」は時間との勝負! とにかく、すばやくすませないといけなかった。

〜〜〜〜〜〜〜
ハットには来客もあった。

「ご近所」のハットに住むヒッピーたちはもとより、流れの麻薬売人などが泊まっていったりもした。

毎日午前中にやってくる可愛い来客は、
「ハロー、フルーツ?」と言って、頭にフルーツを満載したカゴを載せた15〜16歳くらいの地元の少女だ。

彼女はいつも我々のハットで、かなり長い時間休んでいった。

ゆっくり、たっぷり時間をかけて我々にメロンやマンゴーを売りつけていくのだ。
買わないつもりでいても、雑談しながらたびたび「買ってよ!」 とやられるとついついお金を出してしまう。
若いくせに商売上手め!

こちらがいつまでも買わないでいると、重いものを頭に載せるのはイヤだといって、ついには自分で食べてしまうのだった。



ハット暮らしはのんびり気楽で、まさにリゾートライフだ!

しかしこの後、とんでもない経験をすることになったのだ。

次へ


ハットでの生活
ハローフルーツ!の娘とダベるひと時


 
次へ

 
目    次
第1話  旅の序章 第16話  屋根の上のシタール弾き 第31話  アラーよ、許したまえ
第2話  入国拒否 第17話  カルカッタにて 第32話  イランの印象(1)
第3話  強盗だー! 第18話  ヒマラヤの旅(1) 第33話  イランの印象(2)
第4話  TOMODATI! 第19話  ヒマラヤの旅(2) 第34話  イランの印象(3)
第5話  聖地の大晦日 第20話  ヒマラヤの旅(3) 第35話  中東にはホモが多い?
第6話  泥棒もひとつの「職業」! 第21話  ヒマラヤの旅(4) 第36話 「小アジア」の風景
第7話  船旅 第22話  ついに発病か? 第37話 イスタンブール到着
第8話  ヒッピーの聖地(海岸の小屋) 第23話  ポカラの公立病院 第38話 国民総商売人
第9話  ヒッピーの聖地(パーティー) 第24話  旅先で発病した人たち 第39話 銃撃事件
第10話  ヒッピーの聖地(LSD)   第25話  酷暑 第40話 旅の終わり
第11話  ヒッピーの聖地(朝の光と波の音は・・) 第26話  日本は「ベスト・カントリー」だ! 最終話 帰路・あとがき
第12話  インド人は親切だ? 第27話  目には目を?
第13話  田舎を行く列車の旅 第28話  沙漠の国
第14話  変わり始めた片田舎の町 第29話  「異邦人」の町
第15話  皆既日食を見た! 第30話  沙漠に沈む夕陽